夏休みの8月は、日本の小説月間となりました。計9冊。

『ディス イズ ザ デイ』
津村記久子 著   朝日新聞社出版 2018年6月刊
サッカー・リーグJ2のチーム(架空の設定)に入れ込む市井の人々の物語。人間って成長するよね、仲間っていいね!と元気が出ます。

『パリス ジャポネピアニスト、パリを彷徨く』
南博 著  駒草出版 2018年4月刊
ジャズ・ピアニストの自伝?と思って手にとりましたが、実はフィクションがバリバリに入ったハードボイルド小説。だまされちゃあ、いけませんよ。

 『i(アイ)』
西加奈子 著 ポプラ社 2016年刊
脱ステレオタイプのモチーフを使いつつ、世界の動向、アイデンティティと向き合う作。大きなものを扱っていながら、とても読みやすいです。

『そして、バトンは渡された』
瀬尾まいこ 著 文藝春秋 2018年2月刊
高校卒業式。生い立ちの複雑な優子に「あなたみたいに親にたくさんの愛情を注がれている人はなかなかいない」と書いた高校担任教師。著者・瀬尾まいこ自身の息遣いを感じます。

『アイネクライネナハトムジーク』
伊坂 幸太郎/著 幻冬舎 2014年刊(文庫本2017年刊)
積み重ねた小さなストーリーを最後の最後に「大団円」的に回収して、ニヤリ。「すごいだろ!」そんな伊坂幸太郎ワールドがお好きな方にはおススメです。

 『じっと手を見る』
窪美澄 著  幻冬舎  2018年4月刊
地方に暮らす若い介護士の等身大ストーリー。灰色のイメージが全編を貫きます。直木賞候補作だったけれど、純文学の香りもちょいあり。

 『傍流の記者』
 本城雅人 著  新潮社  2018年04月刊
新聞社社内の駆け引き、出世レース等に興味津々の人なら、面白く読めるかも。

 『棲月: 隠蔽捜査7』
今野敏 著 新潮社  2018年01月刊
サイバー犯罪、非行少年、引きこもり、システムダウン……設定も上手いですが、何よりも警察署員の個性がいいですね。もちろん筆頭は主人公の大森署長・竜崎。この肩書は本書が最後。

 『イアリー 見えない顔』
前川裕 著 KADOKAWA(文庫)  2018年06月
現役大学教授の書くミステリー。一気に読ませるだけの筆の勢いあり。学長選挙のドタバタ劇に筆を割きすぎたかも。読後感の悪さが最大の傷。#カドフェス